フランス編#2 パリ
サントシャペル。
前出のノートルダム大聖堂から徒歩数分。
今はもう祈りの場としては使われていないが、これほど美しい聖堂を私は知らない。
特にステンドグラスが好きな方であれば、ちょっとお高い入場料に目を瞑ってでも必ず訪れてほしい場所。
名称: Saint Chapelle
宗派: カトリック
場所: Cite, Paris, France
二階建ての聖堂は面積としてはこじんまり。しかし左右の螺旋階段から二階に上がると、息を飲む光景。
壁面が360度に渡ってステンドグラスで覆われており、天井を支える強度は大丈夫なのかと不安になるレベル。
もともとは集めたキリストの聖遺物を保管するために、ルイ9世が13世紀に作らせた宮殿内の礼拝堂だったそう。
現在は裁判所の敷地内になっており、出入口には銃を構えた兵士が配置され物々しいセキュリティ…夢から覚めた気持ちになっちゃうけど、時節柄やむ無しか。
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フランス編#1 パリ
海を渡ってヨーロッパ大陸へ移動しよう。
フランスはカトリック信者が多数を占める国。戦災を免れた古い建築も多く、ステンドグラスの芸術性も高い。
まずは首都パリから、ユネスコの世界遺産でもあるとびきり美しいこちらのカテドラル。
名称: Cathédrale Notre-Dame de Paris
宗派: カトリック
場所: Cite, Paris, France
ノートルダムとは、私たちの聖母の意味。通称バラ窓と呼ばれる円状のステンドグラス。聖母マリアに捧げらているだけあって、マリアのテーマカラー、ブルーを基調としている。
12世紀から14世紀にかけて作られたたゴシック建築で、19世紀半ばに大規模な修復がなされたらしい。
シテ島の観光名所として正面のツインタワーとファザードが有名だけど、私は南側セーヌ川越しの景観のほうが奥行きがあって好き。
先のローマ教皇、ヨハネ・パウロ二世の銅像が佇むのも南側の公園。
聖堂内では時折コンサートが開催されることも。
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ヨーロッパより〜イギリス編#24
カンタベリーまで来たら、もう一つよって欲しい小さなチャペルがある。
名称: Eastbridge hospital of St.Thomas the Martyr
宗派: 英国国教会
場所: Canterbury, UK
ハイストリートの中に、レストランや土産物屋に埋もれるように建つ小さな建物。
hospitalとあるが、その意味するところはかつての巡礼宿。つまりカンタベリーに巡礼にくる人に一夜の宿を提供する、お遍路宿みたいなもの。
現在も博物館などではなく老人ホームとして活用されているらしく、またこのチャペルも800年の時を超えて毎日祈りの場として活用されている。
12世紀、まだイギリスがカトリックだった時代、カンタベリー大司教だったトーマス・ベケット。
時の国王ヘンリー二世と政治的に対立し、カテドラルでミサ中に国王の手下の騎士に殺害されたのだとか。その後彼に由縁した数々の奇跡が起こり、死後数年、異例の速さで列聖されたそう。
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ヨーロッパと日本のどちらが危ないのか考察してみた〜テロと地震の可能性
世界をあちこち放浪していると、危なくないんですか、とよく聞かれる。日本人に。
日本から来たというと、まあそんな危ない国からようこそ、とコメントされる。ヨーロッパ人に。
そこでヨーロッパと(とりあえず長居しているロンドンを基準に)日本、それぞれの危険性について、客観的に考察してみた。
さしあたってストリートの治安の良さ悪さは対して問題にならない。
もとい、うら若き女子がロンドンのチェルシー地区を昼間に歩くのと、東京の渋谷を夜に歩くのでは、圧倒的に後者の方が危ないのは自明の理である。
脂の落ちたおっさんがロンドンのランベス地区でぼったくられる可能性と、瀬戸内海に面した漁港の居酒屋で一杯ひっかけるのでは、はたまた比較のマトリックスが変わるだろう。
要は時と場所と客体であり、この手の比較考察は不可能であり無意味である。
ヨーロッパ危なくないんですか、と昨今、日本人が尋ねる時、テロ行為のことを指すことが多いようだ。
というわけで、計算してみた。
・イギリスで過去7年間にテロの犠牲になった方は49人(2010〜2017年)。人口6500万人のうち、0.00000075%
(出典http://www.telegraph.co.uk/news/0/many-people-killed-terrorist-attacks-uk/)
・日本で地震や津波の犠牲になった方は、2011年の東日本大震災だけでも26000人。実に人口比、0.0002%.
突発的で理不尽な被害、という意味では、テロと地震は似ていなくもない。
最近は日本にいると隣国からミサイルまで飛んでくるとか。
若者よ、勇気を出して外に出よう。
ヨーロッパより〜イギリス編#23
イギリスで一番重要な教会は、と問われたら、間違いなくここ。
英国国教会の総宝山であり、
800年に渡りクリスチャンの世界的な巡礼地であり、
名称: Canterbury Cathedral
宗派: 英国国教会
場所: Kent, UK
ロンドンから車で南東へ2時間。
細長い聖堂は、12世紀に最初のチャペルが建てられてから増築を重ねてきた結果。内部を端まで歩くだけでもかなりの時間を要する。
聖堂の東の端、一番古い祭壇部分はTrinity chapel(三位一体)と呼ばれ、息を飲むほど見事なステンドグラスで囲われている。
12世紀の殉教者、聖トマス・ベケットが刺された場所には剣のオマージュ。
Black Princeの異名を持つエドワードのお墓等々、見どころ満載。ボランティアの案内係が丁寧に歴史を説明してくれる。
大聖堂周辺は古くから巡礼地として栄えた門前町だけあって、新旧のパブやレストラン、お土産屋で賑わう。
イギリスの学校では必ず課題図書になっている、カンタベリー巡礼者を描いた古典、チョーサーのCanterbury Tales.
あの頃は退屈と思ったけど、ここに来て読み返したらおもしろいのかな。
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ヨーロッパより〜イギリス編#22
続いて主教座があるウィンチェスターに行ってみよう。
こちらの歴史は半端なく古い。
イギリスに最初にキリスト教がもたらされた7世紀に最初の石が据えられ、現在のカテドラルは11世紀に建築が始まり、16世紀に完成したという。
名称: Winchester Cathedral
宗派: 英国国教会
場所: Winchester, UK
祭壇後ろのこの衝立。あまりの装飾の細かさと美しさにため息が出る。
さらに奥に進むと、守護天使のチャペル。
こちらの天井フレスコ画は13世紀!修復した人に拍手を贈りたいが、ガタガタの床タイルも一部13世紀のままと聞くと、その上を歩くのも躊躇われる。
そしてサイドの小聖堂には…お判りいただけるだろうか。
そう、こちらもエドワード・バーン=ジョーンズとウィリアム・モリスの作品。受胎告知の場面をまばゆい新緑色で表現。ぐっと新しく、19世紀の作品。
ちなみにこの聖堂には、「高慢と偏見」などで世界的に有名な女流作家ジェーン・オースティンが眠る。
また大学の街でもある。カテドラル前の芝生は、本を片手にくつろぐ学生や若い恋人がたくさん。明るく感じの良いカフェも隣接している。
ロンドンから日帰り旅行にちょうどよい距離。
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ヨーロッパより〜イギリス編#21
バーミンガムまで来たらもう一つ、こちらの教会にもよってほしい。
名称: St.Martin in the Bull Ring
宗派: 英国国教会
場所: Birmingham, UK
賑やかなショッピング街と市場の間に、まるで要塞のような貫禄でそびえ立つ。それもそのはず、18世紀に前出のカテドラルが建てられるまで、こちらがバーミンガムの大聖堂だったのだ。
すべてではないが、祭壇奥と右手のステンドグラスはバーミンガムが誇る美術家、エドワード・バーン=ジョーンズによるもの。窓枠の花型シェイプがクラシックで凝っている。
しかし場所柄なのか地方都市文化なのか、聖堂内でフリーマーケットなどを開催している時もあり、静けさを味わいにくるとちょっとがっかりするかも。
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脱線グルメ情報〜イギリスはやっぱりおいしい
先日ご紹介した美味しいレバノン料理、でもイギリス料理じゃないじゃん!というツッコミが来そうなので、今回は正真正銘イギリス産グルメ、クリームティーのご紹介。
サルタナレーズン入りしっとりスコーンにクロテッドクリーム+ストロベリージャム+ミルクたっぷりのアールグレイ(もしくはダージリン)ティー。
はい、これだけでボリューム十分、ランチがわり!
ポイントはスコーンをあったかくすることと、カロリーを気にせずにクロテッドクリームをたっぷり塗ること。
アフタヌーンティーというとこれにサンドイッチやケーキがついて、お値段も相当アップ、所要時間も2時間コースになってしまうけど、庶民の毎日はクリームティーで十分幸せになる。
写真はかつてウィリアム・モリスの私邸だった、ロンドン郊外にあるRed Houseのガーデン。今はNational Trustの管理下で、ガイド付きで見学できる。りんごの木に囲まれ、手入れの行き届いた気持ちいいお庭。おすすめです。
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ヨーロッパより〜イギリス編#20
続いての街はバーミンガム。
イギリス国内でのこの街の立ち位置は、日本でいうところの名古屋、あるいは浜松のような…というとイメージしてもらえるだろうか。誰もが知っている中堅都市なんだけれど、取り立てて観光名所もないので行ったことはない。ロンドンから北へ特急で1時間程度、あ、仕事で日帰り出張したわ、みたいな、微妙な立ち位置の街。
しかし、である。
私的イギリス国内No.1ステンドグラスはこの街のカテドラルにある。
名称: St.Philip's Cathedral
宗派: 英国国教会
場所: Birmingham, UK
そう、前出の19世紀の著名画家、エドワード・バーン=ジョーンズの晩年の傑作だ。
http://wolfy.hatenablog.com/entry/2017/11/02/000000
彼はこの街の裕福な家庭の出身でロンドンで大成したが、晩年、地元の大聖堂の改築にあたり、破格でこのステンドグラスデザインを引き受けたという。
赤と青のコントラストが強烈で、それまでのステンドグラスとまったく異なる個性。祭壇向こうの壁を彩るのは、「キリスト生誕」「キリスト昇天」「キリスト磔刑」。
中でも圧巻は、聖堂入り口側のこちら「最後の審判」。
神々しいを通りこして、感動で目眩がすることまちがいなし。
やるな、バーミンガム。もとい、エドワード・バーン=ジョーンズ。
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