イタリア編#8 フィレンツェ
回廊もそのままに美しいサンマルコ美術館は、元修道院。
フラアンジェリコによるあの名フレスコ画、「受胎告知」は、2階へ上がった階段の正面にとつぜん現れる。
画集やカードで見慣れた大天使ガブリエルと少女マリアの絵。
けれども本物は、圧倒的に異なる色遣い、壁画の奥深さ。
受胎告知をテーマに描いた西洋画は他に星の数ほどあるけれど、こんなに静謐な美しさにあふれ、また完璧な状態で保存されている一枚を他に知らない。
周囲はぐるりと修道士たちの個室だったであろう小部屋になっていて、その数おそらく30部屋あまり。
各部屋の壁も、聖書からとった様々な場面の絵で彩られている。
各人の好みで題材を選んだのかな。
キリストの磔刑図が多いけど、大天使ガブリエルが登場するのもたびたび。このうちいくつかはフラアンジェリコによるものだろう、と想像。なんという贅沢な個室なんだ。
その他、貴重な中世の楽譜の展示もたくさん。
イタリアに美術館は多かれど、私一押しはこちら。
開館時間が極端に短いので、訪問するときは気を付けて。
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イタリア編#7 フィレンツェ
教会名建築の宝庫、花の都の別名がふさわしい優雅な町フィレンツェ。
まず向かったのは、サンマルコ教会。
名称:Basilica di San Marco
宗派:カトリック
場所:Firenze, Italy
小さいながら優美な装飾、そして素晴らしい音響のパイプオルガンを備え、たびたびオルガンコンサートが開催されている。
そしてこの方。
イタリアが、世界が誇る才能を持った15世紀の芸術家フラ・アンジェリコはこの地の人なのだ。
フラ(Fra)とはブラザー、つまり修道士の事。
そしてアンジェリコ(Angelico)とは、天使のような、という意味。
つまりフラアンジェリコは通称・あだ名のようなもので、本名をGuido di Pietro というらしい。
芸術家列伝で知られるヴァサリを持ってして、べた褒め。
この修道士をいくら褒め称えても褒めすぎるということはない。あらゆる言動において謙虚で温和な人物であり、描く絵画は才能にあふれており信心深い敬虔な作品ばかりだった
一介の修道士がこんな名画を!!!
という驚愕の一枚を観るために、隣のサンマルコ美術館へ・・・
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イタリア編#6 アッシジ
キリスト教の諸聖人の中で、聖アントニオに並ぶ人気者といえば、聖フランシスコではないだろうか。
12世紀、イタリアの裕福な貴族の家庭に生まれながらその生活を捨て清貧に生き、今も続く一大修道会、フランシスコ会を創設した人物。
彼ゆかりの教会が、ペルージャから1時間ばかり、このスバジオ山の上にある。
名称:Basilica inferiore di San Francesco
宗派:カトリック
場所:Assisi, Italy
なんとも気持ちの良い丘に建つこの聖堂。
あまりに有名な人なので今さらここで説明するまでもないが、この教会と修道院一帯はユネスコの世界遺産。中庭も気持ちいい。
地下に入ると、フランシスコの聖遺物をおさめているというお墓。
聖堂内では、鳥や動物と会話することもできたと言う聖人を描いた、Giottoによる壁画を観ることが出来る。
撮影禁止なので、絵ハガキをお土産に。
アクセスは良くないけれど、一生に一度、必見の教会。
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イタリア編#5 ローマ・ヴァチカン
キリスト教三大巡礼地、と呼ばれる場所がある。
イエスが生まれたイスラエル、
イエスの弟子、殉教者聖ヤコブが眠るスペインのサンチアゴ、
そして教皇が住むここヴァティカン市国。
サン・ピエトロ広場に建つこの教会は、イエスが天国の鍵を託したと言われる愛弟子聖ペトロ(サン・ピエトロ)が眠る場所。
名称:Basilica di San Pietro
宗派:カトリック
場所:Citta del Vaticano
1506年から120年の時をかけて建設された、2万人を収容する巨大な聖堂。
当然ながら一年中、あふれる巡礼者や観光客でごったがえしている。
教皇がバルコニーに姿を現すのは、一週間のうち限られた曜日と時間だけ、入場は予約制。
危ないもんね。
もうひとつこの大聖堂を特別なアトラクションにしているのが、ルネッサンス期の超一級の美術品達。
かつては触れられるほど近くにあったミケランジェロ作のピエタ(イエスの亡骸を抱いて悲しむ聖母マリア)象。ならず者による破損未遂事件以来、ガラスケースのはるか彼方に・・・
そして同じくミケランジェロによる天井画を観るなら、行列必至のシスティーナ礼拝堂へどうぞ。
キリスト教の歴史には様々な解釈があるけれど、2000年間ここまで多くの人を惹きつづける力は、やはり歴史も時も解釈も超えた人智を超えた力が働いている、と思わざるをえない。
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イタリア編#4 トリエステ
中世の面影たっぷりなこの古い小さな町の丘を頂上に、サンジュスト大聖堂がある。
名称: Cattedrale di San Giusto
宗派: カトリック
場所: Trieste, Italy
カテドラルにしてはこじんまり。
建立は古く五世紀に遡り、幾たびかの増改築をかさねても、祭壇奥のモザイクにビザンティン建築の名残を見てとれる。サイドの天井壁にかすかに残るフレスコ画もしかり。
訪問時、入り口扉前には無数のバラの花びらが散っていた。前日に行われた結婚式の跡らしい。
こんなところで結婚式!
隣にはサンジュスト城の遺跡。
トリエステの街が一望できる丘。
華やかさはまったくないけれど、歴史の重みがつまった印象深いところ。
須賀敦子さんの本のイメージどおり、かな。
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イタリア編#2 ヴェネチア
イタリアには風光明媚な町が多いけれど、こんなにも個性的で華やかな町もめずらしい。水の都、ヴェネチア。
カナル運河に囲まれたというだけでなく、地盤沈下×温暖化著しく、本当にマンホールから海水があふれ出ているという水の都。
観光客数世界No.1都市でもあるらしい。
人ごみをかき分けかき分け、向かったのはサン・マルコ広場。
名称:Basilica di San Marco
宗派:カトリック
場所:Venice, Italy
四大福音記者の聖マルコ。シンボルは翼の生えたライオン。
金色のライオンに守られたこの巨大な聖堂の内部は、金色のすばらしいモザイクで天井隅々まで埋め尽くされている。ビザンティン建築という。
建設は11世紀だけれども、ビザンティン建築が流行ったのはそれより数百年も昔のこと。
床のモザイクもまたしかり。
9世紀に発見され、ここまで運ばれた聖マルコの遺体を収めた場所に建てられたのがこの聖堂。
ヨーロッパには聖遺物所縁の教会、多いですね。
セキュリティ上、リュックサックや大きなカバンは持ち込めないので注意。
行列に並んだ最後に気づいたらげんないするからね。
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イタリア編#1 パドゥア
南下してイタリアに入ろう。
カトリック教会の総本山、ヴァティカンをかかえるこの国は教会建築の宝庫。
まず向かったのはパドゥア。
ヨーロッパのいたるところ、本当にあらゆる教会で目にする、幼いイエス・キリストを抱いた若き修道士の絵。背後には百合の花。
子どもと動物の守護聖人として抜群の人気を誇る、ポルトガル生まれでパドゥアで早世した13世紀の聖人、アントニオ(アンソニー)を祀る教会がこちら。
名称: Basilica of St.Anthony of Padua
宗派: カトリック
場所: Padova, Italy
聖堂内には聖アントニオの棺の他、数々の聖遺物(なんと、舌とか!)が保存されている。
彼の偉大さについてはこちらを参照。
回廊に囲まれた美しい中庭は、中世から時を止めたよう。
必見です。
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オーストリア編#2 インスブルック
華やかなウィーンを離れ、チロルの山奥へ行こう。
夏でも涼しいインスブルック。登山家には良く知られた街。
しかしそれだけではない。
15世紀から16世紀にかけて神聖ローマ帝国の皇帝としてハプスブルグ家の礎を築き、いまだオーストリアの父と崇められるマクシミリアン1世のおひざ元。
名称:Hfkirche
宗派:カトリック
場所:Innsbruck, Austria
王宮のすぐ横、日本語のガイドブックでは宮廷教会の名で紹介されている教会(正確には博物館)。
聖堂の中央にはマクシミリアン1世のお墓と銅像。
周囲を囲む銅像達は、ハプルブルグ家の皆さん。
2階にあがると銀で作られたマリア像の小さな聖堂が。
庭の横にある小さなドアから博物館に入るのも忘れないで!
マクシミリアン1世がどれだけ偉大であったかを紹介する、映像と音声付きのミュージアムガイドを楽しめます。お化け屋敷のようななかなか凝った造り。英語あり。
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