イタリア編#8 フィレンツェ
回廊もそのままに美しいサンマルコ美術館は、元修道院。
フラアンジェリコによるあの名フレスコ画、「受胎告知」は、2階へ上がった階段の正面にとつぜん現れる。
画集やカードで見慣れた大天使ガブリエルと少女マリアの絵。
けれども本物は、圧倒的に異なる色遣い、壁画の奥深さ。
受胎告知をテーマに描いた西洋画は他に星の数ほどあるけれど、こんなに静謐な美しさにあふれ、また完璧な状態で保存されている一枚を他に知らない。
周囲はぐるりと修道士たちの個室だったであろう小部屋になっていて、その数おそらく30部屋あまり。
各部屋の壁も、聖書からとった様々な場面の絵で彩られている。
各人の好みで題材を選んだのかな。
キリストの磔刑図が多いけど、大天使ガブリエルが登場するのもたびたび。このうちいくつかはフラアンジェリコによるものだろう、と想像。なんという贅沢な個室なんだ。
その他、貴重な中世の楽譜の展示もたくさん。
イタリアに美術館は多かれど、私一押しはこちら。
開館時間が極端に短いので、訪問するときは気を付けて。
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